最近、和栗と打ち合わせをしていた時に「どんなアーティストが好きなの?」なんて話になりまして、僕がその時挙げたアーティストのひとりが中村中さんでした。
彼女がブレイクしたのは「友だちの詩」なのですが、その頃からアルバムが出ればCDを買ったり、ダウンロードで買ったりしているのです。
最近もこのアルバムを配信でポチりました。
僕はこの人の歌詞がいつもガッツリと胸に刺さるんです。
よくあるヒット曲の歌詞の世界はある程度の瞬間に結末があるものが多いですよね。
恋をしている瞬間、誰かを想う瞬間、終わりや始まり、途中経過のものでもひとつの方向に向かっているのがしっかり描かれている。
でも、中村中の歌詞にはそこまで至らないもやっとしたものさえリアルに描かれているのです。そのもやもやが何なのか分からないけどこんな瞬間の自分がいるんだというのを認められる。
そういうもどかしさの中にいる自分はまるで「悪い事」をしているような、「早くここから抜け出さないといけない」気持になってしまうのですが、彼女がそこを描いてくれるのは、そういう焦りにも似た感情に包まれる時間も「あっていいもの」なんだと思わせてくれるのですよ。
もちろん楽曲やボーカルスタイルも好きなのです。
彼女の裏声、僕は色気と哀愁が入り混じっていて好きなんですよね。
このアルバムでは比較的ジャズテイストなアレンジの曲が多くて、ホーンセクションやピアノの音がいい雰囲気を出しています。アンニュイな感じとでもいいましょうか。
アルバムの中に収録されている「ここにいるよ」が入ってるシングルなのですが、ここに入っている「死ぬなよ、友よ」は久し振りに聴きながら何度も泣きました。
このタイトルから想像するのは「友を励ます」歌なのですが、実際にはこの主人公が友に馳せる思いを綴っているんですよね。
この友の存在に救われているのは自分。
この友に自分の存在を認めて欲しいと思っている自分。
この友に一緒にずっといたい、だけど自分も友もきっと変わってくのを感じている。
そんな「自分」を僕の中にもしっかり感じて、友を感じて泣けてくるんですよね。
そんな事を想うと、アルバムのタイトルってこの曲とリンクするものを感じます。
0コメント